みなさんはアナナスという言葉をご存知だろうか。多くの方が初耳ではないだろうか。
カタカナで書くと日本語の外来語としてもともとあった言葉じゃないのか、と思うほど母音と子音の響きが良い。
ローマ字で書くと、Ananas。補足として記述しておくが英語ではない。
では何語なの?
と言われると、ちょっととまどってしまう。
なぜならば、多くの国でこのAnanasは使われているからだ。
Ananasとは。
Ananasとは何か。
別にクイズではないので先に言うと、「パイナップル」のことである。私が凄くパイナップルのファン、ということではなく、フィンランドに住んでいた際に、フィンランド語の勉強で学んだだけのものだ。
では、フィンランド語のことを話したいのか?
それも否だ。
フィンランド語についてではなく、Ananasについてみんなに知ってもらいたい。
インドネシアに住んでいた時のこと、以外と推測できる言葉が多かった。あれ、インドネシア語って簡単じゃんとも思ったが、これにはフィンランド留学で目にしていた言葉が多かったのだ。
インドネシアは、オランダの植民地だったので、ヨーロッパの言葉に語源をもつ単語が多く使われている。
そんな時、スーパーで目にしたのが、Nanasという言葉。そう、パイナップルを意味する。
するとオランダ語ではパイナップルをなんというのかが気になってくる。
なんと、Ananasだ。インドネシアではなにかしらの理由で頭のAが取れたのだろう。
すると、ヨーロッパの他の国ではなんと呼ばれているのかが気になってくる。以下、ヨーロッパの国々のパイナップルを調べてみた。
アナナスってる。
とりあえずフィンランド付近から見ていこう。見事なアナナス具合がわかる。
国 | パイナップル |
スウェーデン | Ananas |
ノルウェー | Ananas |
デンマーク | Ananas |
エストニア | Ananass |
ラトビア | Ananāsu |
リトアニア | Ananasų |
それでは、インドネシアにNanasをもたらしたオランダ付近はどうだろうか。こちらも見事にアナナスってる。
国 | パイナップル |
オランダ | Ananas |
フランス | Ananas |
イタリア | Ananas |
ドイツ | Ananas |
ポーランド | Ananas |
チェコ | Ananas |
スロバキア | Ananás |
ハンガリー | Ananász |
クロアチア | Ananas |
ルーマニア | Ananas |
しかしアナナスの制覇も、スペイン、ポルトガルで防がれることとなる。。
国 | パイナップル |
スペイン | Piña |
ポルトガル | Abacaxi |
ところがどっこいスペインからジブラルタル海峡を渡った海の先、モロッコではフランス語とアラビア語が話されている。
アラビア語は、というと、、
ん?アナナスってるぅ?!
広大なアラビア語圏を飛び越えてトルコも調べてみた。
安定のアナナスだ。途中スペインやポルトガルでアナナスから変わったから不安になったが、トルコまでアナナスっていた。
さらにキリル文字を用いるロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ブルガリア、なども、アナナスと呼ぶらしい。
ガンジーもアナナスと読んでいたのに違いなし。
インドの隣、バングラデシュではベンガル文字が用いられているベンガル語を話す。まさかとは思うが、ベンガル語でもアナナスはアナナスなのか。。。
惜しい!!実に惜しいぞ。これではアナナスではなくてアナラサではないか。
ここが途切れ目なのかどうだのかは定かではないが、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジア、タイではアナナスっぽさを微塵も感じないことになる。
そうして、大陸ではマレーシアに辿り着くのだが、インドネシア語とマレーシア語では似ているものが多い。
アナナスに戻るかのように思わせたが、Nenasだった。インドネシア語がNanasだったので似たようなものか。
南下をしたとしてもシンガポールは英語と中国語なので、アナナスってはいない。
パイナップルはどこから来たのか。
パイナップル(パインアップル、パインナップル、英:pineapple、学名:Ananas comosus)は、熱帯アメリカ原産のパイナップル科の多年草。単にパインと略して呼ばれることもあるほか、漢名は菠蘿(はら、ポーロ)、または鳳梨(ほうり、オンライ、フォンリー)である。中国や香港では菠蘿、台湾では鳳梨と表記する。また、植物名としてアナナスと呼ぶこともあり、果実や可食部のみパイナップルと呼んで区別することもある。 「パイナップル」(pineapple)という名前は、本来は松 (pine) の果実 (apple)、すなわち「松かさ」(松ぼっくり)を指した。これが18世紀ごろに、似た外見をもつ本種の果実に転用され今に至る(英語の“apple”は、かつてはリンゴに限らず「果実全般」を指す語としても用いられた)。
Wikipediaによると、植物名としてアナナスと呼ばれることもあるらしい。というよりは人口ではなく国で考えれば、アナナスと呼ばれることの方が多いではないか。英語を話す人口には勝てなそうだが、勢力的にはパイナップルよりもアナナスの方が強いのでは。
また、どうやらパイナップルは熱帯アメリカ原産らしい。それでは、日本に知れ渡ったのもアメリカさんのおかげなのか。それだったら、我々がパイナップルと呼ぶことにも納得できる。
原産地はブラジル、パラナ川とパラグアイ川の流域地方であり、この地でトゥピ語族のグアラニー語を用いる先住民により、果物として栽培化されたものである。15世紀末、ヨーロッパ人が新大陸へ到達した時は、既に新世界の各地に伝播、栽培されていた。 クリストファー・コロンブスの第2次探検隊が1493年11月4日、西インド諸島のグアドループ島で発見してからは急速に他の大陸に伝わった。 1513年には早くもスペインにもたらされ、次いで当時発見されたインド航路に乗り、たちまちアフリカ、アジアの熱帯地方へ伝わった。当時海外の布教に力を注いでいたイエズス会の修道士たちは、この新しい果物を、時のインド皇帝アクバルへの貢物として贈ったと伝えられる。 次いでフィリピンへは1558年、ジャワでは1599年に伝わり広く普及して行った。そして1605年にはマカオに伝わり、福建を経て、1650年ごろ台湾に導入された。日本には1830年東京の小笠原諸島・父島に初めて植えられたが、1845年にオランダ船が長崎へもたらした記録もある。
グアラニー語という聞いたことのない言語がでてきたぞ。
恐らくこの言語がアナナスった最も最初の言葉かもしれない。グアラニー語でパイナップルをなんというのか、正解はぐぐっても見つからなかった。もし、グアラニー語がアナナスってたら、世界の多くでアナナスと呼ばれているのも腑に落ちる。
ところが、日本には1845年にオランダが長崎へ持ってきたらしい。オランダは確かアナナスってた国だ。なぜ日本はアナナスってなかったのだろう。
日本がアナナスってる世界線
日本がアナナスった世界線も考えられるのではないだろうか。北海道のすぐ上のロシアは、アナナスってる。(ананас)。
さらに1639年から1854年もの間の鎖国の中、オランダだけが唯一日本と交流を許されていた。オランダ語から日本語に流用されたものなんかかなりの数がある。ランドセルなんかが、我々が日常で使っているオランダ語だ。
日本語 | オランダ語 |
アスベスト | asbest |
アルカリ | alkali |
アルコール | alcohol |
エキス | extract |
エーテル | ether |
エレキ | elektriciteit |
お転婆 | ontembaar |
オルゴール | orgel |
カバン | kabas |
コック | kok |
コップ | kop |
コーヒー | koffie |
どんたく | zondag |
ピストル | pistool |
ブリキ | blik |
ペンキ | pek |
ポン酢 | pons |
八重洲 | Jan Joosten |
ランドセル | ransel |
リウマチ | rheumatisch |
リュックサック | rugzak |
レトルト | retort |
お転婆や八重洲ももとを辿れば、オランダ語だったという説もある。それなのにアナナスと言ったら。。。
なぜ、日本ではアナナスと呼ぶことはなかったのか。アナナスが覇権を握ることができた世界線は存在したのか。専門家ではないが、そんなことを考えるとどんどん調べたくなる。
とりあえず、結論もなにもないがアナナスについて調べてみたので、ブログに残してみた。
ちなみに、やることがなく凄い暇なときにでも、Google翻訳でパイナップルを検索して、今のAnanasはどこの国の言葉か当てるゲームをやってほしい。
どのアナナスも同じに聞こえ、区別がつかない。アナナスマスターをぜひ目指してみてほしい。